Ursa
Novembre
Peaceville
2016-04-01



1. Australis
2. The Rose
3. Umana
4. Easter
5. URSA
6. Oceans Of Anternoon
7. Annoluse
8. Agathae
9. Bremen
10. Fin


イタリアのプログレ・ゴシック・デスメタル8枚目。
前作the Blueから9年ぶりでファンにとってはかなり待った新作かと思います。
その前作と言えばどこまでも沈んでいけそうな深みある曲に、
壊れそうな繊細さを内包した超傑作であり、
前作でメタラー諸氏の知名度もグンと上がったような気がします。

9年の間でメンバーが殆ど抜けており残ったのはヴォーカルとギターのみで、
他のパートはヘルプメンバーを迎えて製作されたアルバムです。
そのあたりも9年かかった理由かと思いますが、
聴いてみると作曲にもかなり苦心したんじゃないかとも感じられます。
言い過ぎですが、クオリティが落ちて出涸らしみたいな曲になってしまっているような…

解りやすい煽情性やドラマティックさは前作から明らかに落ちていて、
よりアトモスフェリックでドゥーミーな作風になり、リフの輪郭もメロディの輪郭もぼやけた感じに
なっていますが、何よりグッと心に迫るメロディが大幅減に感じます。
特にNovembreの中核を担ってきたOrlando弟(ドラムの方)が
脱退したのが影響していそうですが、あの強烈なドラムプレイがなくなったのも残念。

私としては先行配信された3.Umanaが一番好きで、
こんな雰囲気をアルバム全体に期待していたのですが
こういった叙情性を見せているのはこの曲くらいでした。
この曲は前作の雰囲気に近い曲ではありますが、
触れたら壊れそうな繊細さと、美しくレイヤーされた音像、
曲が流れた瞬間に部屋の空気を一瞬で変えてしまうような空間支配力は
メタル界広と言えど、Novembreの右に出るものはないのではないかと思えるほどです。

Calmeroのアンニュイなクリーンボイス・感情むき出しのデスヴォイスも凄く好きで、
クラシカルな構築美溢れるMassimilianoのプレイも素晴らしいですが、
期待値が大きすぎたのか、前作が凄すぎた、のでしょうか…

前回ReviewのOmnium Gatherumもでしたが、
私はDan Swanoのmix/masterはあんまり好きくないです。
バランスも良くないし、バンドの美点が伸びてない気がするのですよね…

2名体制ではライブも出来ないだろうし、
正式メンバー見つけて続けて欲しいと思います。