New Bermuda
Deafheaven
Imports
2015-10-09



1.Brought to the Water
2.Luna
3.Baby Blue
4.Come Back
5.Gifts for the Earth


USのポストブラック3枚目。
前作の「Sunbather」といえばここ数年で最も話題になった
メタルのアルバムの一つと言われていますが、
私も1stから耳は通していて、
Alcest以降、雨後の竹の子の如く出現するフォロワーの多さに
辟易してるくせになんだかんだで聴いてる辺りが、
かつての北欧メロスピブームやイェテボリメロデスブームを思い出されて、
なんだか微笑ましかった記憶があります。
(私メロスピ・メロデスブームに超乗っかったクチですので)
2015年になった今もポストブラックブームは衰えることを知らず、
更に他のジャンルを飲みこんで広がりを見せている始末なのですが、
そのブームの中心に居るのがこのDeafheavenであるところは
皆様ご承知の通りです。

この新作では前作よりもよりメタリックさと暗い叙情を強調し、
前作の底抜けの明るさとは若干趣を異にしていますが、
あくまでポストブラックと言う既定のスタイルの中で、
極限まで完成度を突き詰めた感のある作品であるところは前作と同様と思います。
10分前後の長尺な曲が多いけど、必殺パターンへ持ち込む展開も巧みで、
ダークなパートと叙情パートのグラデーションの美しさでは
今作の方が上かなとは思いますが、
青春の一ページをポストブラックで表現したような、
鮮烈な疾走感のある前作とでは甲乙つけがたく
前作と今作、どちらが上かどうかはもう好みのレベルではないでしょうか。
ちなみにどうでもいいですが私は今作の方が好きです。

「ポストブラックの王道」と言うものがもしあるとすれば、
ブラックメタルを捨てたAlcestではなくこのDeafheavenこそが
それであると言っても良いかと思いますが、
どれだけ極限まで完成度を高めようが、涙必死のトレモロを奏でようが
Deafheavenもポストブラックという殻を破らない限り、
音楽性を超えた何か(良くわかりませんが)で愉しませてくれるAlcestを超えることは
私の中で永久に無いと思います。

…という一抹の寂しさを感じながらこの作品を聴くと私はより愉しめるので、
そう思うことにしています。
前作も話題になった、とか言われててもこの国で結局騒いでいたのは
私のような偏狭メタル愛好家の間だけだったようですし、
結局メタル(ブラックメタル)など、
多数派に飲みこまれ拒絶される者が聴く音楽云々…
などとと思ってきたりして、
本作は聴いているとどうもそんな寂しい気分になってくる
哀愁たっぷりな作品に、なっておりました。