愉しきは変化

HM/HRを中心に音楽の感想

2015年08月

Soilwork / The Ride Majestic

ライド・マジェスティック
ソイルワーク
マーキー・インコーポレイティド
2015-08-26



1. The Ride Majestic
2. Alight In the Aftermath
3. Death In General
4. Enemies In Fidelity
5. Petrichor By Sulphur
6. The Phantom
7. The Ride Majestic (Aspire Angelic)
8. Whirl of Pain
9. All Along Echoing Paths
10. Shining Lights
11. Father and Son, Watching the World Go Down
12. Of Hollow Dreams(日本盤ボーナストラック)
13.  The End Begins Below The Surface(日本盤ボーナストラック)


スウェーデンのメロデス10枚目。
クリーンボイスを用いたモダンメロデスの先駆者の1つ云々、
という説明はもはや不要の有名バンドです。
あとどうでもいいですが私が一番多くライブ観ているバンド。

メンバーが安定しないバンドでもあり、
特にメインソングライターのPeter Wichersが脱退したり再加入した頃は
バンドが不安定で曲にもそれが反映されていたと思います。
現在はBassのOla Flinkまでもが脱退しており、
もはやオリジナルメンバーはBjorn Stridのみという状況みたいです。

ここ最近では曲の原案はVocalのBjornが頑張っているようで、
前作の2枚組大作の攻めた内容もさることながら、
完成度も向上してきて、歌メロへかなり力を入れているようですが、
曲の展開もかなり練って作っている印象です。
頭2、3曲は猛烈にカッコいいけど、
以降の曲はあまり印象に残らないなあというのが相変わらずでもどかしいですが、
前作以上にありがちな曲展開を避けて、
メロディ以外のところでも印象に残る部分を多く作っており、
「Peterのいない新生Soilwork」が遂に完成された感があります。
加えて今作はメロディもかなり力が入っていて、
特に歌メロの充実度には目を見張るものがあります。
ちょっとオリエンタルな雰囲気も感じさせる4. Enemies In Fidelityや
ブラックメタルのようなトレモロリフを配置したダークな6. The Phantomなど、
安易にイェテボリっぽいメロディばかりにせず
バラエティにも配慮されていて、
今作ではそういった部分がかなり上手く噛み合っており、
ここ最近で出色の出来になったと言えるのではないでしょうか。

全体的な印象はあらゆるHM/HRの要素を取り込んだ、
オルタナティブ・モダン・エクストリームメタルといったところで、
情報量も多く非常に濃い内容なのですが、
散らかっている印象はなく、上手くまとめ上げてキャッチーに聴かせるところが、
バンド、プロデュース共に凄い才能と力量を感じます。
(ただここ数作同様KeyのSven Karlssonの存在感はあんまりない。)

私の中での最高傑作は5枚目の「Figure Number Five」なのですが、
今作は2015年のオススメの一つです。
私情を抜きにすればキャリア最高傑作…かも。
レビューに私情入れんなって話ですが。
1.the ride majesticは本当にカッコいい。
ほんとこのバンドは1曲目の名曲率半端ない。


Paradise Lost / The Plague Within

プレイグ・ウィズイン
パラダイス・ロスト
マーキー・インコーポレイティド
2015-05-27





1. No Hope In Sight
2. Terminal
3. An Eternity Of Lies
4. Punishment Through Time
5. Beneath Broken Earth
6. Sacrifice The Flame
7. Victim Of The Past
8. Flesh From Bone
9. Cry Out
10. Return To The Sun
11. Victom Of The Past (Orchestra Version)

(日本盤ボーナストラック)


UKのゴシックメタル14枚目。
Paradise Lostと言えば、Anathema、My Dying Brideと共に
ゴシックメタルの始祖として名高いですが、
一度メタルから脱却してファンが離れ、
10枚目で回帰してからはファンが戻って再評価されている、
古参バンドに良くあるパターンを歩んでいるバンドです。

今作ではファンが最も求めるであろう、
ゴシックドゥーム路線を提示してきたのですが、
ボーカルのNick HolmsがBloodBathでそのデス声を遺憾なく披露したことも
影響しているのか、デス声が大幅に増えており、
ここ最近でも最もエクストリームな仕上がりとなっています。

古参バンドが過去の路線に回帰するケースは
大概完成度と安定感に秀でた作品をリリースすることが多いですが、
このアルバムも同様で、円熟のパフォーマンスと共に、
リスナーの耳に抜群の説得力と完成度でもって迫ってきます。
彼らの持ち味の一つである、
妖しく耽美なメロディは今作ではあまり聴かれませんが、
ダウナーで気怠い雰囲気が蔓延しており、
より雰囲気物としての側面も強くなっているように思います。
曲の出来もすこぶる良く、どの曲でも陰鬱で退廃的なメロディと、
ドゥーミーな心地よいダウナーさが味わえます。

超強烈な名曲クラスが見あたらないのが残念ですが、
1. No Hope In Sightや5. Beneath Broken Earth辺りの
抗えないダウナーさは堪らないものがあり、
これは各所で高評価なのも納得ですね。
私個人は12thのFaith Divides Us Deaths Unites Usが
ゴシックメタルとしても完成度が高く、
彼らの最高傑作と信じているのですが、
その次点と言ってもいい好盤です。
Faith Divides Us Deaths Unites Usは
Peter Daminのドラムとのマッチングが良すぎて
奇跡のコラボぽくなってしまっているのでしょうがないですが、
ともかく、本作はゴシック、ドゥームどちらも好きな人におすすめします。

Anathemaの来日も決まりましたし、
Paradise Lostもそろそろ来日してもいいんじゃないでしょうか。
今なら前回の来日のような悲惨な状況にはならないと思いますしね。
そしてKatatoniaも来日すればいいと思います。